北朝鮮は金日成から金正恩に至るまで金王朝による独裁国家である・・・と思われがちですが、実情はもう少し複雑で、実は今まで中国の意向に従って動いていました。北朝鮮における核兵器の開発も中国の「ある勢力」が援助してきた疑いがあります。その真相に迫っていきましょう。
北朝鮮に核開発を協力してきた中国企業
そもそも北朝鮮は世界から孤立しながらもなぜ核兵器を開発できるほどの技術があるのでしょうか。そこに技術提供をしている外部勢力がいると考えるのが妥当でしょう。実際、その「外部勢力」は尻尾を出し始めています。
今年2019年7月に米司法省が明らかにしたことによると、北朝鮮の核兵器やミサイルの研究開発
さらに「丹東鴻祥実業有限公司」は、香港などに設立したペーパーカンパ
他にも、前回の記事でもご紹介しましたが、2016年にエジプト沖で拿捕(だほ)された貨物船からは、北朝鮮製対戦車ロケット弾3万発が押収されたことがニュースになり、この船の所有企業は香港企業でオーナーの中国人は丹東市を拠点にしていたことが分かっています。
この丹東市は北朝鮮と隣接しており、朝鮮民族が多数住んでいる地区でもあるので、北朝鮮にとって世界とつながる唯一のゲートウェイとして機能してきました。
この丹東市で利権を握っていたのが江沢民一派(上海閥)でした。つまり江沢民一派が北朝鮮を援助、ないしは操作していたことになります。
その証拠に丹東銀行が利権を握っていた江沢民一派である元中国共産党序列第3位の張徳江が失脚した直後にアメリカからタイミングを狙ったように丹東銀行が経済制裁の対象にされたのですが、その丹東銀行は北朝鮮にとって大事な資金源でした。また、張徳江が排除されて以降、北朝鮮に様々な物資を流していた中国の朝鮮族の実業家が、何人も逮捕されました。
その時を契機に北朝鮮の金正恩総書記は大きく態度を変えて対話ムードを演出し始めます。つまり資金と物資の源が断たれ始めたことによって国家存亡の危機に陥ったゆえに、対話ムードを演出して国際社会に復帰せざるを得なくなってしまったのです。
そこで金正恩総書記は唯一の外交カードともいえる核兵器やミサイルの削減を引き換えにして経済制裁を解いてもらおうとしているのです。
北朝鮮の地下資源利権を狙う習近平
北朝鮮は今までは江沢民を筆頭とする上海閥が深く繋がっていたのですが、その上海閥は習近平によって除外されつつあります。習近平政権になってからは大規模な汚職撲滅キャンペーンが始まり、わずか一年で江沢民一派を中心に15万人もの中国共産党員を腐敗で検挙しました。これは院政を敷いていた江沢民に対する習近平のいわば反逆であり、江沢民一派の幹部がどんどん政界から除外されていきました。
江沢民vs習近平の詳細を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
習近平は江沢民一派の影響力の大部分をそぎ落とすことに成功したのですが、その結果として現れたのが金正恩の態度の変化です。
江沢民一派の後ろ盾を失いつつある金正恩は新たな支援者を求めている節があります。その一人が習近平です。
では習近平の狙いはどこにあるのかというと、対北朝鮮との経済的な利益の独占にあると思われます。実際、北朝鮮には鉄鉱石や石炭、燐灰石、マグネサイト、ウランなど、200種類を超える有用資源が確認されており、レアメタル、レアアースのような経済価値が非常に高い鉱物資源も地下資源にあり、その埋蔵量は広大な中国大陸を遥かに上回るとされています。世界のレアメタルやレアアースの約90%を中国が独占してきましたが、それを遥かに上回る埋蔵量があれだけ狭い北朝鮮の地下に眠っていると予測されています。
北朝鮮に対する江沢民の影響力を削いだ習近平がそのポッカリ空いた北朝鮮利権を見逃すはずがありません。実際、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の端川(ダンチョン)市を中心とした豊富な地下資源埋蔵地域の共同開発を中国と検討しているという話もあります。
また、第2回目の中朝首脳会談で、金正恩は習近平に平壌をはじめとする経済的要所の4か所を拠点とする経済協力を要請したことがわかっています。
このように習近平が台頭する一方、江沢民一派が旧勢力となり国際的影響力を失うことで東アジア情勢の力学が変わりました。北朝鮮と韓国の統一も考えられます。ロシアのプーチン大統領が韓国の文在寅大統領と電話会談して、「ロシアの鉄道や天然ガス、電力などが朝鮮半島を経てシベリアに連結すれば、朝鮮半島の安定と繁栄に貢献するだろう」と話していることからも、朝鮮半島統一は既定路線と考えていいのかもしれません。
何はともあれ、今後10年で東アジアの情勢は大きく変わっていくでしょう。
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