日欧EPAの海外の反応。EU・米・中国・韓国はどう見ている?

前回、日欧EPAの問題点について書きましたが、今回の締結に対し、主要各国はどう見ているのでしょうか?海外の反応を見ることで現在の世界情勢の一旦が垣間見えるのではないかと思い、以下にまとめました。

 

 

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EUの反応

 

ロシアに輸入を拒否されたEUは以前から経済大国日本の市場を狙っていたようです。それが今回叶って、EUは喜びに溢れているようです。政治誌ポリティコ欧州版によると、ドナルド・トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は

 

「我々はEU外で国際貿易を行うのがより簡単なのに、EUにいる価値はないというコメントを聞いてきた。今日、それが真実ではないこと、またEUがますますグローバルになっていることが示された」

 

と述べ、明らかにEU離脱を決めたイギリスに対する批判をしながらも喜びを滲ませていたようです。

 

 

アメリカの反応

 

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は社説において

 

「トランプ氏は、環太平洋経済連携協定(TPP)から脱退し、EUとの環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)の交渉を中断している。米国が参加しようがしまいが、世界中で貿易は続く。米国がTPPにとどまっていれば、米国の農家や輸出業者は日本への販売増加を享受できた可能性があるが、そのチャンスは今や欧州に与えられている」

 

と書いています。トランプ氏のブロック経済政策(保護主義的政策)に対する批判も滲ませている社説と読み取れます。ニューヨークタイムズも同様にトランプ氏に対して批判を込めながらアメリカの孤立化に懸念を示しています。

 

アメリカの世界に対する影響力は減少しつつありますが、今回の日欧EPA締結はそれを象徴する出来事なのかもしれません。

 

当のドナルド・トランプ氏はEUに対して、貿易面でアメリカを利用しているとして「敵」とさえ表現しました。

 

それに応えるように、EU大統領トゥスク氏は、トランプ氏に対して、世界の秩序を乱すのではなく、改革することに力を入れるよう呼びかけ、場合によってはアメリカがもたらす貿易摩擦が「熱い対立」に発展する可能性もあると警告しました。(“EU’s Tusk Warns Trump Trade Wars Can Lead to ‘Hot Conflicts’”より)

 

事実上EUのアメリカ離れが進んでいるようで、日欧EPAがそれを象徴していると言えるのかもしれません。

 

中国の反応

 

中国経済は今窮地に立たされています。アメリカによって関税の大幅な引き上げを行われ、貿易不振に陥っているからです。そして今回日欧EPAという経済圏ができることで、アメリカと同様中国もまた孤立化していきます。

 

中国経済学者の巩勝利氏は高関税、輸出補助金、貿易障壁を行う中国は日本とEUという巨大な経済圏から排除されるため、経済がより一層厳しい境地に追い込まれると指摘しています。

 

中国は社会主義的要素がまだまだ残っており、国有企業へ補助金を出す一方で外国企業が参入しづらいように規制を張っています。そのため安易に関税を引き下げることができず、EPAのような貿易自由化を掲げる協定を結ぶことができないのです。

 

一路一帯のような独自の経済圏を構築しつつある中国ですが、当面の中国経済に陰りが見えてきました。それに対しどう対処するのでしょうか。今後の中国の動向に注目したいところです。

 

韓国の反応

 

お隣韓国の反応は興味深いものです。韓国もまたEUEPAを結んでいる国で、韓国最大手の自動車メーカー現代自動車(ヒュンダイ)とその傘下の起亜自動車(キア)の輸出を伸ばしていました。

 

今回の日欧EPAによって自動車関連の関税が撤廃されると日本車メーカーの市場占有率が高まり、韓国車のそれが減少することが予想されていますが、それに対し韓国人たちはむしろ自虐交じりに喜んでいるようです。

 

というのも、昨今における現代自動車は一部の韓国民の間で不買運動が起こるほど嫌悪されているようなのです。

 

そもそもの原因は世界最恐とも言われる現代自動車の労働組合にあります。同労働組合は毎年のように賃上げストライキを繰り返しており、すでに現代自動車の賃金はトヨタやフォルクスワーゲンより高く、韓国ではトップレベルに給料が高い会社として知られており、多くの韓国民が「欲張り者たちの貴族労組」と彼らを批判しています。

 

どれくらい高いのかというと、2014年における現代自動車社員の平均給与は日本円にして1060万円でした。ちなみに日本の自動車メーカーの当時の平均年収は、トヨタ710万円、ホンダ697万円、日産627万円、スバル585万円、三菱自動車543万円です。当時の売り上げはトヨタがトップで現代自動車の2倍ほども差があったのにもかかわらずにです。

 

毎年のように上がる人件費に苦しめられている現代自動車は経営不振も重なり、2018年7~9月期の連結決算によると、営業利益は2890億ウォン(約289億円)で、前年同期に比べ、76%もの急激な減少を記録しました。

 

米中の貿易戦争もある中、更に日欧EPAによって日本車メーカーの追撃に追いやられるであろう現代自動車の今後はどうなるのでしょうか?

 

韓国民はむしろ破綻してほしいという人も少なくないようです。その韓国民の生の声はこちらで見られます。

 

まとめ

 

各国の反応を見てきましたが、現在の世界情勢はアメリカと中国の更なる孤立化がキーワードのようです。このまま貿易摩擦がヒートアップしていくのでしょうか。日本はEUとEPAを結んだからといって、両大国に挟まれているので、その動き次第で日本も大きな影響を避けられません。アメリカと中国の今後の動きに要注目です。

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