沖縄県宜野湾市の市長だった伊波洋一さんは講演でこう語りました。
「米軍機は、米軍住宅の上では低空飛行をしない。それはアメリカの国内法がそうした危険な飛行を禁止して、その規定が海外においても適用されるからだ」
沖縄をじっくり見て回るとわかりますが、米軍機が沖縄上空を危険な低空飛行をしていることがわかります。しかし、実は沖縄の米軍住宅の上だけは絶対に飛びません。
米軍はアメリカ人だけは守って、日本国民を蔑ろにしているのでしょうか。
なぜ米軍は日本人の人権は守らず、野生動物や遺跡は守るのか
しかも伊波氏の話によればそうした米軍の訓練による被害から守られているのは人間だけではありません。アメリカでは、コウモリなどの野生動物や遺跡などに悪影響を及ぼすと判断された時には、訓練はできず、計画そのものまで中止になります。
なぜなら米軍は訓練計画を公表し、環境への影響評価を行うことが法律で義務付けられているからです。これはアメリカ国内だけの話ではありません。実際、沖縄本島北部の高江では、ノグチゲラという希少な鳥の繁殖期には、ヘリパッドの建設工事が数ヶ月にわたって中止されました。
しかし、日本国民に対する悪影響はあると判断されても訓練は中止になりません。
これはどういうことなのか。米軍にとって日本国民は動物や遺跡以下の存在なのでしょうか。なぜ日本人の人権だけ守られないのでしょうか?その秘密は憲法にありました。
日本国憲法・法律が適用されない米軍
実は米軍兵には日本の法律が適用されないという事実があります。
例えば、危険な飛行を禁止する航空法が存在しますが、その一方で「航空法特例法」というものもあり、その内容は「米軍機には、〔最低高度や飛行禁止区域を定めた〕航空法第6章の規定は適用しない」というものです。
もちろんどのような特例法があろうと日本国民の人権が明らかに侵害されていたら憲法が機能してそれをやめさせれるはずです。しかし現実はそうはなっていません。つまり米軍には法律はおろか憲法さえも機能していないのです。
米軍は日本の法律・憲法が適用されない一方で、アメリカの法律はしっかり守っています。上に挙げたように、野生動物や遺跡などに悪影響を及ぼすと判断された場合は訓練そのものが中止になりますし、米軍住宅の上では低空飛行をしません。アメリカには日本人の人権を守るための法律がない上に日本に米軍の行動を規制する法律がないために米軍は合法的に日本人宅の上空を低空飛行するのです。
アメリカ国内の米軍基地というのは例えばカリフォルニア州のミラマー海兵隊基地などは沖縄の普天間基地の約20倍の広さがあって、基本的には基地上空だけで低空飛行訓練が行えます。しかし日本の基地は比較的に狭いために基地を超えて低空飛行訓練をしているのです。
アメリカ国内と同じような訓練をするには基地外の日本人住宅上空を飛ばざるを得ないということもできます。少なくとも嫌がらせで日本人住宅の上空を低空で飛んでいるわけではないようです。
米軍の低空飛行をやめさせるには
それをやめさせるには答えは一つで、米軍の特権を認める「航空法特例法」を改廃するしかありません。しかしそれを改廃するためには日米合同委員会の存在が障壁になるでしょうから、もっと厳密に言えば日米合同委員会の改廃が唯一の解決策でしょう。
まずはやはり日米合同委員会の存在を世に知らしめる必要がありそうです。それに問題意識を持ち声を上げる人が多くなればなるほど政治や官僚レベルで世の中は変わっていくでしょう。
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