ロシアと日本は北方領土問題でずっと争っています。四島帰属問題の解決を目指している日本側に対してロシア側は「領土問題はない」としています。
ところでなぜロシアは北方領土を返還しようとしないのでしょうか。それはとてもシンプルかつ意外な理由でした。
なぜ北方領土がロシアに取られたのか
そもそもいつ、なぜ北方領土はロシア領になったのか。軽く歴史をおさらいしましょう。
話は第二次世界大戦にまで遡ります。1945年8月14日、日本がポツダム宣言を受諾し、翌日ラジオで国民に降伏を告知した後のことです。日本軍が自発的戦闘行動を停止したタイミングを見計らって、8月28日から9月5日にかけて、赤軍(ソ連軍)が北方領土に上陸し、占領しました。そして翌46年に国有化宣言をします。
実は1944年12月の時点で、ソ連のスターリンはアメリカの駐ソ大使W・アヴェレル・ハリマンに対して南樺太や千島列島などの領有を要求しており、1945年2月のヤルタ会談(米・英・ソ首脳会談)にてソ連が対日本戦に参戦する見返りとして、日本降伏後に北方領土を引き渡すよう極東密約を結んでいたのです。
1951年、日本は連合国と「サンフランシスコ講和条約」を締結しましたが、この条約で日本は戦前に領有していた台湾や朝鮮半島だけでなく、南樺太・千島列島を放棄することが確定し、北方領土は国際的にもソ連の領土と確定したのです。
その後、1956年に日ソ共同宣言をし国交回復を果たし、その日ソ共同宣言には歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すと明記されました。しかしこれは両国の間に平和条約が結ばれたあとのことで、その際平和条約を結ぶには至りませんでした。
その後も日本の歴代首相は何度かロシアと交渉を重ねますが、現在まで返還には至っていません。
ロシアが懸念する「米軍の全土基地方式」
ロシアが今もなお平和宣言しようとせず、北方領土を返還しない理由はまさに「米軍基地問題」にあります。仮に北方領土を返還した場合、ロシアは米軍基地をそこに置かれることを懸念しているのです。
実際、2016年11月の日ロ首脳会談の際、プーチン氏は、谷内正太郎・国家安全保障局長の発言を引き合い出して「君の側近が『島に米軍基地が置かれる可能性はある』と言ったそうだが、それでは交渉は終わる」と迫りました。安倍首相は「全くの誤解。これから交渉しよう」と応じました。
しかし、いくら日本の首相がそれに対し弁解したところで、ロシアがそれを信用しない理由があります。
なぜなら日米は日本全国で米軍が望むところはどこでも基地にできるという、世界でも極めて珍しい「全土基地方式」をとっているからです。
そんなバカなと思われるかもしれませんが、旧安保条約1条には以下のような記載があります。
「平和条約および安保条約の効力が発生すると同時に、米軍を日本国内およびその周辺に配備する権利を、日本は認め、アメリカは受け入れる」