日韓GSOMIA破棄の影響で起こるであろう3つの大変動

日韓の間で防衛上の機密を共有する際に第三国への流出を防ぐために結ぶ協定「GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)」は23日に破棄されることが避けられない模様です。タイで日韓防衛相会談は開かれましたが、韓国は破棄の見直しをするには日本側がまず輸出管理の見直しするのが条件と一点張りで、話し合いは平行線のままです。

 

このままGSOMIAが破棄されるとどうなるのでしょうか。その破棄の影響で起こるであろう3つの大変動を以下にまとめました。

 

 

1:米韓同盟の解消

 

このGSOMIAの破棄で影響を被るのは日韓二国だけの話ではありません。この事態に怒り心頭になっているのはアメリカです。破棄となれば、日米韓による東アジアの安保秩序が崩れてしまう恐れがあります。東アジアの情勢が悪化することを危惧したアメリカは政府・軍高官を韓国に派遣して破棄の見直しを促していますが、韓国がそれに頷く様子はありません。

 

こうなると米韓同盟の解消が現実味を帯び始めることになります。そもそもトランプ大統領は「在韓米軍はカネの無駄だから撤退させたい」と発言していることからも明らかなように在韓米軍の撤退に向けて動いています。来年度における韓国側の在韓米軍駐留費用を米国が今年の5倍以上となる47億ドルを提示したことからも、無理な提案をすることで反米感情を煽っている側面があるとみていいでしょう。

 

それで韓国内で「在韓米軍の撤退」という世論が優勢になれば、トランプ大統領としては米韓同盟を解消させ、撤退させやすくなります。ただしアメリカも一枚岩ではありません。在韓米軍を留まらせて、東アジアの緊張状態を継続させたい勢力(軍産複合体など)がいることも忘れてはなりません。

 

ホワイトハウスや国務省内のいわゆるディープステートの意向もあるので、トランプ大統領は自らの権限だけでいきなり在韓米軍を撤退させることはできませんが、韓国側の世論を反米に仕向けることで、韓国世論に尊重する形で「自然に」在韓米軍撤退をしようとしていると考えれます。またGSOMIAが破棄されることで在韓米軍の兵士たちが危険に晒されるという事態にもなるので、在韓米軍を撤退させようという意見は米国内でも多くなるでしょう。

 

つまりトランプ大統領としては、GSOMIA破棄はむしろ好都合なのです。トランプ大統領が日韓両国の「仲裁」を拒否していることからもそれが明らかです。

 

2:「南北統一朝鮮」の樹立促進

 

韓国の文在寅大統領としても在韓米軍の撤退は好都合です。なぜなら在韓米軍の撤退は北朝鮮の長年の念願であり、文在寅大統領は北朝鮮の独裁体制を正当化する「主体(チュチェ)思想」に傾倒し、北朝鮮主導の朝鮮半島統一国家樹立を目指していることからも、在韓米軍の撤退は自らの野望を叶えるための通過点と考えているでしょう。

 

だから、GSOMIAの破棄の見直しをするには日本が輸出規制を見直すことが条件という韓国側の要求はあくまで建前で、日本がそれを見直すことがないと分かって言っていると考えれます。それによってGSOMIAの破棄を日本のせいにすることができるだけでなく、アメリカに失望させ、米韓同盟の解消に仕向けることができます。そして在韓米軍が撤退すれば、「南北統一朝鮮」を樹立することができます。

 

それは過去の記事でも触れましたが、中国と香港をモデルとした一国二制度の連邦国家構想で、韓国側の資本主義と北朝鮮側の独裁共産主義体制は温存したまま、外交と国防は北朝鮮が主導するという構想(高麗連邦構想)です。その連邦国家構想は金日成が1980年に提案したものですが、金日成総書記もその構想を受け継いでいるでしょうし、主体思想に傾倒している文在寅大統領としてもそれに従うと考えることができます。

 

3:米中戦争勃発

 

GSOMIAの破棄によって在韓米軍が撤退し、統一朝鮮が出来上がると、経済力や人口が西欧諸国と肩を並べることになるだけでなく、核兵器を持った軍事大国が出来上がることになります。

 

そうなると中国も黙ってはいられません。北朝鮮は今までは中国に従ったふりをしていましたが、韓国とともに連邦国家を樹立することで反旗を翻す可能性も出てきます。中朝国境の中国側の朝鮮民族の居住区である「延辺朝鮮族自治区」の朝鮮人たちが統一朝鮮のナショナリズムに呼応して中国からの独立、および統一朝鮮に編入されることを望むと考えられますし、そうなれば中国共産党は鎮圧のための武装警察を送り込むことになり、その鎮圧に対抗する形で統一朝鮮が中国に牙をむく可能性もあります。

 

もちろん朝鮮半島が統一しても中国の方が軍事力は上なのですが、核兵器を持っている上に、その中国との対立にアメリカがここぞとばかりに加勢してくる可能性が高いです。その「延辺朝鮮族自治区」の独立を助けることで、内モンゴルやチベット、ウイグル自治区でも独立運動が連動する形で広がっていくでしょう。

 

そうなれば多民族を抱えた中国は内部から瓦解していくことになります。その内部からの崩壊をアメリカは狙っていると考えられます。アメリカはこれまでも様々な国で反政府組織に協力して政権を転覆させようという工作を何度もやってきました(ベネズエラやキューバなど)。

 

中国もそれに全力で対抗するでしょうから、朝鮮半島の統一に伴う「延辺朝鮮族自治区」の独立運動が引き金となって、中国 vs 統一朝鮮+アメリカという構図で戦争が起こるかもしれません。

 

GSOMIAの破棄の影響でこれだけ大きな変動が起こると考えられます。米中間で戦争に発展することはないとしても、東アジアの情勢が大きく変わることは間違いないでしょう。

 

日本がその変動のなかでどういう立ち位置で国際関係を築くのでしょうか。日本も戦争に加担しないことを願うばかりです。

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