本物の醤油の6つの見分け方と取り寄せ可能&健康的なオススメ品

今回は本物の醤油の選び方(6つの選定ポイント)と健康的かつ取り寄せ可能なオススメの醤油をご紹介します。

 

1.添加物の有無

 

日本古来の本物の醤油の原料は大豆・小麦・塩と、かなりシンプルです。麹菌と酵母と乳酸菌という微生物の働きによって発酵され、味わい深い調味料となります。

 

具体的には麹の酵素が大豆のたんぱく質をアミノ酸に分解し、乳酸菌の有機酸が爽やかな酸味や味の深みを与え、酵母が小麦の皮の成分から燻製のような香りを出し、風味に更なる深みを与えます。結果としてアミノ酸とグルタミン酸とアスパラギン酸が豊富な醤油が出来上がります。

 

しかし、そういった伝統的な醤油は醸造に最低でも1年はかかります。近現代になって大量生産が求められるようになってからは製造スピードを上げるために化学的な添加物が含まれる醤油(のようなもの)も開発されるようになりました。長い時間がかかる自然の微生物の発酵を省略して、様々な味を添加して醤油に似せたものを開発したわけです。

 

例えば、調味料(アミノ酸等=グルタミン酸ナトリウム)やカラメル色素(発がん性が疑われるものがある)、砂糖、ブドウ糖果糖液糖、甘味料(ステビアなど)、アルコール等。

 

(※グルタミン酸ナトリウムとブドウ糖果糖液糖の危険性は以下の過去の記事(『危険な食品添加物5選とその理由』)でご紹介しています。

 

その結果、製造期間は半年以下に縮めることができましたが、伝統的な製造法における微生物の発酵によって生み出される栄養価の高さを実現はできているとは言い難いですし、添加物の危険性は無視できません。

 

本醸造と書いておきながらこういった添加物が入れられている商品もあるので、伝統的な本物の醤油を好む方は【大豆・小麦・塩】とだけ書いてあるものを選んだ方が良いでしょう。

 

2.丸大豆か脱脂加工大豆か

 

醤油に使われる大豆もどういったものかを見ることが大切です。数多くある醤油の中で「脱脂加工大豆」というものを原料としているのが約8割を占めます。

 

出典:『丸大豆と脱脂加工大豆』/ 職人醤油

 

脱脂加工大豆とは大豆の油分を取り除いたもので、たびたび「大豆の残りカス」みたいな表現をされますが、醤油の旨みを作るには油分は不要で、醤油づくりにおいては脱脂加工大豆でも問題はなさそうです。

 

ただ、こだわりの強い醤油会社の多くは丸大豆を使います。

 

その理由の一つが原料から顔の見える生産者のものを使いたいからだそうです。脱脂加工大豆の場合は大豆油を絞るために大量の大豆が輸入されますが、それらをまとめて絞るので大豆の生産者まで把握することは極めて困難です。そのためどんな環境で大豆を育てたかを把握するのなら丸大豆という選択肢になるのです。

 

また、丸大豆の油分が醤油の風味を劣化させる「産膜酵母」が繁殖するのを防ぐという意見もあります。

 

「脱脂加工大豆が原料の醤油=悪い醤油」というわけではありませんが、総合的に判断すると丸大豆の醤油の方が良いと私個人は考えています。

 

3.原材料の大豆は国産か?

 

次に国産かどうかを確認しましょう。外国産の場合は約6割がアメリカ産になりますが、アメリカ農務省の作付面積データによると、アメリカ産大豆の94%が遺伝子組み換えです。逆を言えば非遺伝子組み替え大豆は6%しかないのです。

 

もし大豆の項目にアメリカ産と表記されており、かつ「遺伝子組み換えではない」という表記があったとしても注意が必要です。なぜなら日本の表記基準として、もし遺伝子組み換えが含まれいても総量の5%以下であれば「遺伝子組み換えではない」と表記していいことになっているからです。メーカー側が意図していなくとも遺伝子組み換え大豆が混入する可能性は十分にあり得ます。

 

この記事では実際に「遺伝子組み換えではない」と表記されている大豆製品を検出調査した結果を報告しています

 

『大豆製品に含まれる遺伝子組換え大豆の検出調査2016』

 

 

当記事によると、やはり外国産の大豆を扱う商品は「遺伝子組み換えではない」と表記しながらも5%以下の遺伝子組み換え大豆が検出されたようです。国内産の大豆の場合は不検出のようです。

 

アメリカの次にブラジルやカナダの輸入大豆が多いですが、ブラジルもカナダ産も遺伝子組み換えの可能性があるので気をつけましょう。

 

遺伝子組み換えの危険性については賛否両論ありますが、遺伝子組換え作物によく使われる除草剤(ラウンドアップ)などの危険性の報告は多々あるので個人的にはやはり避けた方が良いと考えています。

 

また国産の方が良い理由はもう一つあります。それは海外産のものであればポストハーベスト農薬が使われている可能性が高いからです。ポストハーベスト農薬の問題点の詳述は以下の小麦の項目に譲ります。

 

4.小麦は国産か?

 

小麦が国産と書かれていない場合は海外産である可能性が高いです。海外産の小麦の何が問題なのかというと、海外産の輸入前にポストハーベスト農薬(収穫後の農薬)が撒かれている可能性が高いからです。なぜなら輸入の貨物船は長い間穀物などを運ぶことになるため、その間に害虫に食べられたり、カビが発生する可能性が高くなります。それらを未然に防ぐためにポストハーベスト農薬を撒くのです。

 

ポストハーベスト農薬は使用が認められているため何が問題なのか疑問に思う人も少なくないでしょう。

 

しかし、ポストハーベスト農薬には以下のような問題点があります。

 

  • 作物におけるポストハーベスト農薬の残留度は通常畑で使われる農薬のそれより濃度が高い(数百倍濃いという説もある)
  • ポストハーベスト農薬は作物の表面だけではなく、皮の中にまで浸透する可能性が高い
  • ポストハーベスト農薬の中には、発がん性や催奇形性が疑われる薬剤も存在する(例えば、「2,4-D」という農薬はかつてベトナム戦争で使われた「枯葉剤」と同様の成分で、製造過程で発生するダイオキシン類が混入し奇形児が生まれる原因となった。枯葉剤の被害者としてベトちゃん、ドクちゃんは日本でも有名な話である)

 

日本では作物の収穫後にポストハーベスト農薬を撒くことは禁じられているため、国産製であればポストハーベスト農薬は使われていないということになります。

 

そのため国産の方がより安全性が高いのです。しかし日本で消費される小麦は85%以上が輸入に頼っており、その分国産は比較的価格が高いです。だからわざわざ国産小麦を使う醤油会社はそれだけでこだわっているということが分かります。

 

そのような理由から国産小麦を使っていると明記している醤油を選んだ方が良いと言えます。同じ理由で大豆も国産大豆と明記しているものが好ましいです。

 

5.塩にこだわりがあるか

 

塩にこだわりがあるのかどうかもポイントの一つです。こだわりの強い会社の商品は塩の産地も書くことがほとんどです。逆にこだわりのない会社は単に原材料の欄に「塩」とだけ書いてあります。その場合は経費を抑えるために安い塩で作っていることが考えられます。全部が全部安かろう悪かろうではありませんが、個人的には塩にもこだわって作られている醤油の方が良いと考えています。

 

良い塩の見極め方は過去の記事(『精製塩と天然塩の見分け方&安全な塩の見極め方』)で紹介しましたので、その見極め方も参考にして頂いて、どういった塩を使っているのかを企業HPなどで確認すると良いでしょう。

 

6.木桶で醸造されているかどうか

 

ここからは好みの問題も多分にありますが、木桶で醸造されているかどうかというのも選ぶポイントの一つです。伝統的な製造法は木桶で、木桶にはたくさんの菌が棲みついています。

 

仕込みが終わり、次の仕込を始める前に、木桶の表面を洗浄をするのですが、木の内部には空間があり、そこにいる菌は流されずに棲みついているのです。一方、プラスチックやステンレスの桶の場合、菌も完全に洗い流されてしまいます。

 

ある木桶の醸造家によると、麹菌などをその都度購入して製造していくと、他の会社と同じ味になる傾向があるそうです。こだわりが強い醤油製造会社は木桶の場合が多いので、木桶かどうかも選択基準の一つとして取り入れてみてください。

 

ただ「木桶で製造=本物の醤油」とは限りません。会社によっては現代の様々なニーズに合わせて様々な添加物を入れている場合も少なくありません。添加物をどこまで許容するのかは各々の自己判断によりますが、私個人的にはやはり【大豆・小麦・塩】だけのものを選びたいと考えています。

 

オススメの醤油会社

 

香川県小豆島のヤマロク

 

江戸時代から醤油の醸造屋が多い小豆島。その中でも創業150年のヤマロクのこだわりは群を抜いています。蔵は国の登録有形文化財に指定されており、土壁にはたくさんの菌が住み、蔵全体に棲む菌が醤油づくりのポイントだといいます。

 

出典:ヤマロク醤油株式会社

 

大きな木桶がたくさん並び、そこから様々な醤油を作っていますが、中でもヤマロクの代表作「鶴醤」は2年熟成した後に更に塩以外の原料を入れてもう2年仕込むという二度仕込みとなっています。大豆・小麦もこだわりのある北海道産で、塩はメキシコ産の「天日塩」です。

 

4年も熟成させた深いコクとまろやかさは他の醤油では味わえない一品になっています。

 

この会社が面白いところはそれだけでなく木桶づくりにも挑戦しているところです。現在、醸造用の木桶を製造できるのは日本で大阪の堺市にある「藤井製桶所」1社だけなのですが、その桶屋さんがもし木桶を作らなくなると、みそや酢、みりん、酒などの日本食を支える調味料を作るための木桶がなくなってしまうことになります。

 

それでは日本の食文化の基盤が失われてしまうとヤマロクは危惧して、藤井製桶所から技術を継承しようとしているのです。木桶の技術が未来にも受け継がれていくためにもヤマロクを応援したいところですね!

 

蔵の見学もできるので小豆島にご旅行される場合はお立ち寄りをオススメします。(通販は20193月現在一時休止のようです。ただ、以下のHPのお取り寄せ項目から少量サイズからの購入だけ可能という案内があります)

 

ヤマロク醤油のHPはこちら

 

滋賀県の丸中醤油

 

丸中醤油もまたこだわりの強い醤油醸造会社です。醤油造りは約220年の歴史を持ち、創業以来、醸造蔵と独自の製法を守り続けています。ここの蔵も創業の寛政期から手を加えることなくそのまま現存されていることから国登録有形文化財に登録されています。

 

ここでは「塩吊り」や「ブレンド法」という他にはない独自製法で、伝承の味を生み出しています。代表作の一つが丸中醤油の中でも宝とされている「大蔵」の百年杉樽(江戸後期からのもの)から蔵出しされている三年熟成の醤油です。

 

原材料のこだわりも当然のようにあって、大豆は滋賀県産、小麦は愛知県産でHPで生産者の顔も見せています。塩は天日塩。もちろん大豆、小麦、塩以外の原材料は使われていません。通販もしているのでそちらからご購入もできます。

 

丸中醤油のHPはこちら

 

今回は二つだけオススメの醤油醸造屋をご紹介しましたが、他にもこだわりを貫いて優れた醤油を造っている会社はたくさんあります。数多くある醤油を選ぶ際に今回紹介した見極め方を参考にして頂ければ幸いです。

Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2019
スポンサードリンク



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。