辺野古移設の何が問題?賛成・反対の理由と真の解決法

辺野古移設問題で沖縄の県民投票により反対多数になりましたが、日本政府はそれでもなお辺野古埋め立てを進めようとしています。

 

ここではそもそも辺野古移設は本質的に何が問題なのか、そしてなぜ日本政府は辺野古にこだわり続けるのかを明らかにするために、まずは反対意見と賛成意見を挙げ、本当の問題点と日本政府が何に動かされているのかを書いていこうと思います。それを明らかにすれば自ずと本当の解決法が導き出されるでしょう。

 

 

辺野古移設反対理由

 

環境保護

 

第1の理由は辺野古の豊かな自然環境が破壊されるからというものです。辺野古にはジュゴンをはじめとして、絶滅危惧種262種を含む5800種の生物が確認されるほど生物の多様性があり、そのうちの約1300種は新種の可能性があります。沖縄防衛局は新基地建設のためサンゴ約74千群体を移植するとし、一部を移植しましたが、県はすべての移植を終える前に護岸の整備や埋め立てに着手したことを問題視しています。

 

県外移設

 

辺野古移設を反対する人たちの中には県外移設を訴える人もいます。

 

県は辺野古に反対する理由を

「沖縄は自ら基地を提供したことは一度としてなく、住民の意思と関わりなく建設された。土地を奪っておきながら普天間飛行場の移設は辺野古が唯一の解決策だというのは理不尽だ」

と説明しています。

 

そして日本全国にある米軍専用施設の約70%が沖縄に集中しているという事実に対して沖縄の負担が大きすぎるという不平を述べ、県外移設を主張する人が少なくありません。

 

ちなみに昨年帰らぬ人となった翁長元沖縄県知事もまた「県外移設」を主張していました。

 

 

賛成理由

 

普天間は世界一危険な米軍施設

 

政府は沖縄が辺野古新基地建設に協力しなければ普天間飛行場は移設されることなく固定されるとしています。普天間は危険といわれて久しいので固定化されると危険性を放置することになってしまいます。

 

そもそもなぜ普天間から基地を移設しようとしているのかというと以下の二つの理由が挙げられています。

 

  • 基地が老朽化したから
  • 世界一危険だから

 

まず基地が老朽化したというのは確かに基地開設が戦後間もない1945年のことであり、2019年現在では74年の歴史を持つ古い施設です。実は1968年に普天間の閉鎖検討がされていたということが米公文書によって明らかにされていますが、翌年69年に首都圏の航空基地を縮小する目的で、神奈川県にある厚木基地のヘリを普天間に移設するという計画に修正されました。

 

その後96年の橋本政権時代に普天間飛行場の全面返還が日米で合意され、5年から7年以内の実現を目標としました。その後の移転先が辺野古と決められたのですが、移設反対が続き、移転が滞っています。そのように普天間基地はなし崩し的に長年運営されることになり現在に至ります。

 

次に世界一危険といわれているのは、基地周辺に120箇所の学校や公共施設が建っており、周辺で実際に墜落事故が何度か起こっているからです。具体的に例を挙げると、1980年にOV-10軽攻撃機が離着陸訓練中に滑走路に墜落し、2004年に CH-53D大型ヘリが沖縄国際大学に墜落しました。2017年12月には緑ヶ丘保育園と普天間第二小学校など、部品落下事故も相次いでいます。

 

今まで民間人を巻き込むような事故は起こっていませんが、近隣市民は絶えず墜落の危険性と騒音などの被害に晒されています。2003年に普天間飛行場を上空から視察した当時のラムズフェルド米国防長官が「世界一危険な米軍施設」と驚いたほどで、普天間基地の機能を停止する必要性が高まっていることは事実です。

 

それを理由の一つにして賛成派は普天間から辺野古への移設を訴えているのです。

 

県外移設はあり得ない

 

先ほども述べましたが、辺野古基地移設を強行しようとしている政府は「県外移設はあり得ない」と主張し、辺野古移設か普天間固定化かの「二者択一」の見方を強調しています。

 

「県外移設はあり得ない」というのは沖縄が地理的に中国などの脅威から守るためという軍事的な問題のようにも思えますが、実はそうではなく政治的な問題の方が大きな要因になっているようです。

 

というのも、民主党政権で防衛相を務めた森本敏氏は在任中の2012年、普天間の移設先について

 

「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適の地域だ」

 

と述べており、退任後の2015年の会見では、軍事的な観点から言えば沖縄に比べて中国に対する抑止力はやや落ちるものの、移設先は「九州の西半分」でも構わないと言っています。しかし、政府が国内各地を様々な点から検討した結果、移転先を見つけられず、「沖縄に戻ってきた」と言っています。(2015年06月17日 の会見リポート「沖縄から考える」

 

防衛省OBで元内閣官房副長官補の柳沢協二氏も「海兵隊は沖縄で抑止力にならない」と指摘するように、沖縄への基地集中は軍事的理由からではなく、他の都道府県には引き受け手がないという政治的理由があるからということを示唆しています。

 

自衛隊だけじゃ日本は守れない

 

辺野古移設反対を訴える人の中には米軍の完全撤退を主張する人もいます。その反対意見として日本の軍事力は中国のそれに劣るために、仮に中国から攻められたら日本だけでは守りきれない(※2018年度の軍事力ランキングは日本が8位、中国が3位)。だから米軍の力が必要だという主張しています。

 

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