トランプとロスチャイルド、シオニストとの関係。本当に救世主?

 

全ては「グレーターイスラエル」のため?

 

こういったシオニストの動きはすべては「グレーターイスラエル」のために動いていると考えられます。

 

グレーターイスラエルの計画図

 

オレンジの部分が今のイスラエルの範囲ですが、それを青の範囲にまで拡大しようという計画です。エジプトのシナイ半島・サウジアラビアの北部・シリア、イラクの大部分・レバノンに関しては全部が入っています。

 

グレーターイスラエル計画は、既存のアラブ諸国を小さな州に分割することを要求しており、その新たなユダヤ人による帝国の首都をエルサレムにしようとしていると考えられます。エルサレムにアメリカの大使館を移転させ、トランプに首都認定させたのも、こういう背景があったからだと考えるとより納得できると思います。

 

ユダヤ人陰謀論はバカげていると言われがちですが、世界情勢をみるとあながち否定もできません。もちろん全てのユダヤ人が陰謀に関与しているというのは妄言ですが、一部の人たちは過激なシオニズムやグレーターイスラエル計画を本気で実行しようとしているのは確かです。

 

一般にユダヤ社会では、白人系ユダヤ人を「アシュケナジー系ユダヤ人(アシュケナジーム)」と呼び、アジア・アフリカ系のユダヤ人を「スファラディ系ユダヤ人(スファラディム)」と呼んで区別していますが、特にアシュケナジー系ユダヤ人の支配層がグレーターイスラエルを画策しているようです。

 

アシュケナジー系ユダヤ人は元々ユダヤ民族でもなんでもなく、7~10世紀に現在のウクライナ辺りで栄えたハザール王国由来の人たちと言われ、その王国の支配者層がユダヤ教に改宗したのをきっかけに一部の一般住民もそれに続きました。

 

一方で、ユダヤ教に改宗したスラヴ人がアシュケナジムの主体となったというスラヴ人起源説もありますが、何にせよ、今のユダヤ教徒の過半数を占めるアシュケナジー系ユダヤ人は元々現在のイスラエル辺り出身のユダヤ民族ではなかったという説が有力なのです。

 

アメリカのユダヤ人でシオニズムの研究者でもあるアルフレッド・リリアンソールは『イスラエルについて』という著書の中で「東ヨーロッパ及び西ヨーロッパのユダヤ人たちの正統な先祖は、8世紀に改宗したハザール人たちであり、このことはシオニストたちのイスラエルへの執着を支える一番肝心な柱を損ねかねないため、全力を挙げて暗い秘密として隠され続けて来たのである。」と主張しています。

 

ユダヤ人学者のN・M・ポロックもまた1966年時点で、「イスラエル国内の60%以上、西側諸国に住むユダヤ人の90%以上は、何世紀か前にロシアのステップ草原を徘徊していたハザール人の子孫であり、血統的に本当のユダヤ人ではない」とイスラエル政府に抗議しました。イスラエル政府は一旦はハザールに関する彼の主張が正しいことを認めましたが、後にその証言をもみ消そうとしました。それはイスラエルそのものを揺るがしかねない証言だからです。

 

古典的SF小説『タイムマシン』の著者として知られ、イギリスの社会主義者のH・G・ウェルズは「ハザール人は今日ユダヤ人として偽装している」。「ユダヤ人の大部分はユダヤ地方(パレスチナ)に決していなかったし、またユダヤ地方から来たのでは決してない」とさらに厳しい指摘をしています。

 

そもそも『旧約聖書』に登場するユダヤ人に白人は1人もいません。彼らは人種的に「セム系」と呼ばれ、黒髪・黒目で肌の浅黒い人々でした。今でいうアラブ系民族に近かったのです。聖書の中にはモーセやダビデ、ソロモン、そしてイエスもみな白人である根拠はありません。

 

2001年のBBCドキュメンタリー「神の子」において、法医学人類学者リチャード・ニーブ氏がパレスチナ辺りの当時の男性の顔を、同地方で発見された頭蓋骨をもとに再現してみせました。

 

BBCドキュメンタリー「神の子」のために作られたCG画像

 

これがイエスやモーセの顔というわけではありませんが、同じような系統の顔だったと考えられます。

 

しかし、ハザール王国由来と思われる「ユダヤ教に改宗した非ユダヤ人」がヨーロッパ各地に広まり、近代になるとアメリカにまで広がることで、ユダヤ教=白人系ユダヤ教徒の宗教という認識が確立しました。

 

それはキリスト教も同じことで、ローマ帝国でキリスト教が国教化された以降にヨーロッパ各地にキリスト教が広まり、宗教画でイエスやマリア、モーセなどが白人として描かれることで、キリスト教も白人の宗教という認識が確立しました。

 

話は少し逸れましたが、シオニズムやグレーターイスラエル計画を実行しようとしている主要な人物たちは元々ユダヤ民族でもなんでもないアシュケナジー系ユダヤ人であり、アメリカのクリスチャン・シオニズムがそれを後押ししているという構図なのです。それがそっくりそのままアメリカとイスラエルの政治の動きに反映されており、シリアやイラクなどの中東で争いが絶えないのもそのような構図があるからだと考えられるのです。前回の記事で取り上げた米国の「軍産複合体」もそれに協力しているとみることもできます。

 

もちろん全てのユダヤ教徒がシオニズムやグレーターイスラエルに賛同しているわけではなく、例えばカナダの歴史学者で敬虔なユダヤ教徒でもあるヤコヴ・ラブキンは『トーラーの名において シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史』という著書の中で、敬虔なユダヤ教徒にとってシオニズムは神を裏切る行為であり、シオニズム運動とイスラエル建国がいかにユダヤ教の教義に反するのかを歴史的に論じています。

 

 

根本的な問題はユダヤ教にあるのではなく、ユダヤ教を利用して、権益を拡大させようという一部の支配者層にあります。

 

シオニズムの先鋒ともいうべきロスチャイルドファミリーもクシュナーもシェルドン・アデルソンもネタニヤフもみなアシュケナジー系ユダヤ人です。

 

グレーターイスラエル計画の本当の狙いは超監視社会を基盤にした世界政府(NWO:ニューワールドオーダー)を樹立することだというジョージ・オーウェルの『1984』的な陰謀論もありますが、それもあながち否定できません。5Gを核にしたスマートシティも完全なる監視社会の訪れですし、エシュロンによる世界的な情報監視網はスノーデンによって公にされています。そういった背景を併せて考えると、グレーターイスラエルを中心とした超監視社会をつくろうという計画があってもおかしくはありません。

 

彼らの原動力が宗教的熱意なのか、世界政府をつくろうという計画なのか、何なのかはハッキリとは分かりませんが、イスラエルの領土を拡大させようとしている動きがあるのは確かです。

 

ネタニヤフ首相は2019年の総選挙で、首相を続投することになった場合、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区のうち、ヨルダン渓谷など一部地域をイスラエルに併合する考えを明らかにしています。それはグレーターイスラエルのための序章に過ぎないのかもしれません。

 

なんにせよ、そのような活動に加担するトランプが救世主だとするのは意図的なミスリードだと感じざるを得ません。トランプをディープステートに歯向かう救世主だとするQアノンもミスリードのための仕掛けの一つだとみていいでしょう。

 

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