今、日韓の間で大きな問題になっている徴用工訴訟問題について出来るだけわかりやすく徹底解説していきます。この騒動の根源を辿ると、日本による韓国併合が合法か違法かという議論に行き着きます。ズバリこの問題の解決策は韓国併合の合法論を主張することにあります。どういうことかじっくり説明していきます。
その前にまず徴用工問題について、改めてどういう問題なのかを見ていきましょう。
動画Ver (※ブログ記事と同じ内容です。お好きな方をご覧ください)
徴用工訴訟問題とは
徴用工訴訟問題とは、第二次世界大戦期の朝鮮および中国での日本企業の募集や徴用により労働した元労働者及びその遺族による訴訟問題です。元労働者は日本企業に奴隷のように扱われたとし、複数の日本企業を相手に多くの人が訴訟を起こしています。
訴訟されている企業数は何と70社以上。例えば有名どころだと三菱重工業、不二越、日本製鉄などです。
徴用工問題、今頃なぜ蒸し返されるのか
実はこの元徴用工に対する補償は日本は1965年にしています。今頃なぜ蒸し返されるように訴訟問題として騒ぎになっているのでしょうか。それを理解するには歴史を振り返ってみる必要があります。
韓国政府も1965年の日韓基本条約と日韓請求権協定による日本側の補償を受けて「解決済み」としました。
具体的には日本と韓国は双方間で過去における未払い賃金を含む請求権は基本条約によってなくなり、企業・個人関係なく、お互いに請求することができなくなったのです。過去のことはここで清算して仲直りし、お互い経済協力していこうという趣旨でした。これは「完全かつ最終的」な解決をうたった請求権協定でした。
しかしここで問題がありました。
日本は個人ベースで補償を提案したのですが、韓国は「国家として処理し、日本の代わりに韓国政府が個人へ補償する」と断りをいれました。
その額は無償で3億ドル(個人補償分)、有償で2億ドル、民間借款で3億ドル、合計して8億ドルです。貨幣価値を今の時代に換算すると1兆800億円 。その額は当時の韓国の国家予算の2.3倍です。
しかし当時の朴正煕大統領(朴槿恵元大統領の父)は個人補償分を元徴用工には充てず、補償金すべてを国家の繁栄のために使ってしまったのです。
その資金源をもとに韓国は経済復興しました。
しかし忘れてはらならないのが個人への補償がされていないということです。
以下は読み飛ばして頂いても構いませんが、念のために日本と韓国との補償金についてのやりとりを抜粋してご紹介しておきます。この一連のやりとりに韓国側のお金が早く欲しいという焦りを感じます。
1961年4月28日 第5次日韓会談一般請求権小委員会12次会議
日本:被徴用者の補償金とはどのようなものか?
韓国:生存者、怪我人、死亡者を含んで被徴用者に対する補償、すなわち精神的苦痛に対する補償だ
日本:このような請求は国交が正常化できなかったために解決出来なかった。今後国交が回復して正常化すれば日本の一般法律により個別的に解決する方法もある
韓国:解決方法としては色々あり得るが、私たちは国が代わって解決しようと思う
1961年5月10日 第5次日韓会談一般請求権小委員会13次会議
韓国:他国民を強制的に動員することによる被徴用者の精神的、肉体的苦痛に対する補償を要求する
日本:徴用された時には日本人として徴用されたのであるから、日本人に支給したものと同じ援護を要求するということなのか?
韓国:当時日本人として徴用されたというけれど、そのように考えない。私たちは強制的に動員された。考え方を直すことを望む。
日本:被害者個人に対し補償してほしいということか?
韓国:私たちは国として請求する。個人に対しては国内で措置する。
日本:韓国人被害者に対しでもできるだけ措置しようと思う。
韓国:補償は私たちの国内で措置する性質のことだと考える。
日本:韓国が新しい基礎(※他国民として強制動員されたとの立場)で考えることは理解できるが、個人ベースではないということは理解することはできない。
韓国:補償金においては日本人死亡者・けが人に対しても相当な補償をしているが、他国民を強制的に徴用して精神的・肉体的苦痛を与えたのに対して相当な補償をしなければならないのではないか。
日本:日本の援護法を援用して個人ベースで支払えば確実だと考える。 日本側としては責任を感じていて、被害を受けた人に対し措置も出来ずに申し訳ないと考えている。
韓国:私たちは国内措置として私たちの手で支給する。日本側で支給する必要はないのではないか。
日本が何度も個人へ補償すると提案していますが、韓国は一貫してそれを拒んでいることがわかります。
個人補償を求める裁判の経緯。最高裁の暴走
いわゆる元徴用工は、1995年から日本で損害賠償を求める裁判を起こし始めました。日本企業の日本製鉄(現・新日鉄住金)で働いていた4人が「日本製鉄から賃金ももらえず、よく食事もできず、最小限の睡眠と休憩すらもらえず、奴隷のように酷使され命の脅威を受けた」と主張し、日本製鉄に賠償を請求したのです。
しかし前述したよう個人請求権は1965年の両国の条約で終了しています。国際条約はそう簡単には覆せません。当然のごとく原告側は連続して敗訴、2005年からは韓国内で裁判を起こすもこれまた敗訴続きでした。
しかし2012年5月に局面が変わり始めます。大法院(韓国の最高裁判所)は原告敗訴を取り消し、事件をソウル高等裁判所に差し戻したのです。そして翌年の2013年7月にはソウル高裁で原告が一部勝訴しました。
被告の日本企業・新日鉄住金は判決を不服として大法院に上告しましたが、2018年10月、韓国大法院は同社の上告を退け、4人に請求全額の計4億ウォン(約4千万円)の支払いを命じたソウル高裁判決が確定しました。
裁判は5年以上も保留されていたわけですが、それは朴槿恵前大統領が日韓関係の悪化を恐れて裁判を引き延ばすよう示唆していたことが朴槿恵弾劾後に明るみに出たことにより、裁判が再度動き始めたのです。文在寅現大統領が推し進める「積弊清算」の現れと言えるでしょう。(積弊清算:過去の政権時代に積もった弊害=不正、そして不公正な社会構造を清算するという意味を持つ)
個人請求権に関する韓国政府の解釈
そもそも個人に補償分のお金を回さなかった韓国政府の責任も大きいと思われますが、これらに関する韓国政府の見解はどうなのでしょうか。
実は歴代韓国政府の見解は「解決済み」で日本に対する個人請求権をしっかりと認めたことがないのです。
例えば、盧武鉉元大統領は反日姿勢が強い盧武鉉氏でしたが、その彼すらも徴用工被害補償は「日本から得た無償3億ドルに包括的に勘案された」としています。
2012年5月の差し戻し判決の際には、韓国政府(李明博元大統領時代)は判決直後に「請求権協定ですでに解決済み」として大法院の判決を否定しました。
しかし文在寅現大統領は「(日韓)両国間の合意は個々人の権利を侵害できない」とし、その上で
「両国間の合意にも関わらず、徴用工、強制徴用を受けた個人が三菱などの企業を相手に持つ個人の権利(請求権)は残っているというのが、韓国の憲法裁や最高裁の判例だ」
と明言しました。
歴代大統領は個人請求権に関して否定はしなかったものの、それを強く肯定することもありませんでしたが、文在寅大統領は日本に対する個人請求権があることを明言し、日韓で結んだ国際法を事実上無視しています。
その一方で韓国政府は日韓の企業が資金を拠出して財団を設立し、元徴用工に補償する案を提示しています。
日本はその提案を拒否しますが、再度同じ提案をしてきた韓国の南官杓(ナム・グァンピョ)駐日大使に対し、河野太郎外相は
「韓国側の提案は全く受け入れられるものではないことは以前にお伝えしている。それを知らないフリをして改めて提案するのは極めて無礼だ」
とまくし立て
「韓国が国内の判決を理由に国際法違反の状況を放置しておくことは国際的にも許されない。韓国政府がいま行っていることは第2次世界大戦後の世界秩序を根底から覆すものに等しい」
と改めて指摘しました。