今回は明治時代の女性のカラー写真をご紹介します。開国間もない頃の写真ですが、当時から水彩によるカラー技術がありました。
「明治時代カラー写真の巨匠」日下部金兵衛のカラー写真
まずご紹介するのが日本における写真の着色技師の第一人者であった日下部金兵衛(1841-1934)による作品です。金兵衛氏は幕末の1863年頃から横浜のフェリーチェ・ベアトのスタジオで写真の着色技師の弟子入りをして働き始めました。1881年には独立をして自身の写真スタジオを設立し、数々の写真の着色を手がけました。着色方法は前述したように水彩絵の具によるものです。
金兵衛氏は「明治時代カラー写真の巨匠」とも呼ばれていますが、日本での知名度は比較的低く、海外においてセントルイス万国博覧会に作品を出展するなどして知名度を高めていきました。外国人にとって彼のカラー写真は開国間もない神秘のベールに包まれた日本を知るきっかけにもなったのです。
前置きはこれくらいにしておいて、金兵衛氏の作品をご紹介します。
これは駕籠に乗る女性と煙管でタバコを吸って休憩している担ぎ手たちです。かなりリアルなカラー写真ですよね。
駕籠は江戸時代によく使われましたが、明治時代になると人力車に取って代わられていきました。そのため、この写真は正確な年代は不明ですが、明治初期であることが推測できます。
まるで絵画のような美しい写真です。舞妓か芸者でしょう。
これも芸者と思われる女性二人です。佇まいが素敵ですね。絵になっています。
桶で洗髪している女性です。当時は今のようにシャンプーはありません。江戸時代から石鹸はありましたが、超がつくほどの高級品で、主に薬品として医療業界で使われていたといわれています。では何で洗髪していたのかというと、驚くなかれ、うどんの粉と海藻のフノリを混ぜ込んでドロドロになったものを髪につけ、櫛ですきながら丹念にお湯で洗い流していたようです。この方法でツヤツヤの髪になったそうです。
他にも、ツバキの油粕や粘土、灰汁などが洗髪に使われていました。この写真ではどのように洗ったのかまでは判別できませんが、いずれかの方法で洗っていたのかもしれません。
この二枚の写真は芸者か舞妓さんが白粉で化粧をしている最中の様子を写し取ったものだと思われます。セクシーな姿で化粧をしているのは、芸者や舞妓は首元も白粉で白くしていたからです。二枚目の写真はバックに和楽器があることからも芸者か舞妓であることが分かります。
巫女の写真です。顔つきが現代の女の子みたいです。表情が緊張しているようにも見えますね。
家族の写真でしょうか。三味線が置かれていたり、背後に写る箪笥からも明治を感じますね。
次のページ:100万枚も彩色をした写真家、玉村康三郎のカラー写真