SARSに学ぶ新型コロナウイルスの7つの予防法

新型コロナウイルスの脅威はインフルエンザ以上、SARS以下と言われていましたが、既にSARSの感染者数と死亡者数を上回っています。日本でも感染者が現れており、私たち日本人も最善の対策を打つ必要があります。

 

コロナウイルスの一番の予防法は人が集まるところにはなるべく行かず、極力外出を避けることですが、通学や通勤などでどうしても人混みが避けられない人も多いでしょう。ということで、そういった人たちのための予防法をご紹介します。

 

対策をするにはまず敵を知ることからです。ということで最初に新型コロナウイルスの実態に迫ります。

 

 

新型コロナウイルスはSARSと似ている?

 

前回の記事でも触れましたが、新型コロナウイルスは2002~2003年に猛威を振るったSARSと似ていることが判明しています。新型コロナウイルスについて、アメリカなどの研究者が遺伝子の配列を分析した結果「SARSと同じベータコロナウイルスの一種だ」ということが判明しました。

 

そもそもコロナウイルスって何だって話からすると、コロナウイルスは既に6種類が認知されており、そのうち4種類は人間の間で一般的な風邪の原因となるウイルスで、風邪の原因の10~15%(流行期は35%)を占めるともいわれています。残りの2種類が重大な肺炎の原因となるSARS(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)と2012年に中東を中心に広がったMERS(中東呼吸器症候群コロナウイルス)です。

 

今回、中国の武漢で見つかった新型コロナウイルスは今まで認知されてきた6種類のコロナウイルスに当てはまらないために、新しい7種類目のコロナウイルスとして「新型コロナウイルス」と呼ばれることになりました。

 

なぜ「コロナウイルス」と呼ばれるのかというと、コロナウイルスは顕微鏡で見てみると、表面に王冠のような突起があり、ギリシャ語で王冠を意味する「コロナ」にちなんで「コロナウイルス」と名付けられることになりました。

 

感染経路

 

新型コロナウイルスの主な感染経路は空気感染ではなく、飛沫感染(患者が咳やくしゃみなどをした際に飛び散るウイルスを吸い込むことによる感染)だと考えられています。

 

2メートル以内の濃厚接触の場合が特に要注意です。

 

しかし直接的な飛沫感染だけでなく、間接的な接触経路もあります。例えば、新型コロナウイルスに感染した人の手にくしゃみなどが付着し、その手が起点となって感染拡大していきます。手から物へ、物から他の人の手へといった具合にです。

 

電車・バスの吊り革、ドアノブ、電気のスイッチなどが要注意ですが、他にもどこで新型コロナウイルスを触るかは分かりませんので、こまめに手洗いすることや、手で口や目を触らないことが重要です。

 

主な症状

 

新型コロナウイルスの潜伏期間は2週間ほどと言われていて、感染者からの接触から2週間以内に何か異常があれば、近くの医療機関(できれば大きめの病院)で診察してもらったほうがいいでしょう。

 

どのような症状があるのかというと、WHOによれば初期症状として発熱、せき、息苦しさなど呼吸器症状、筋肉痛やけん怠感などが報告されているとのことで、重症化した場合、肺炎や呼吸困難を引き起こしたり、腎臓の機能が低下したりすることがあるといいます。

 

 

マスクは意味がない?

 

ちなみに、マスクはあまり意味がないといわれています。世界保健機関(WHO)でさえも新型コロナウイルスについて「必ずしもマスク着用は感染予防にはならない」と述べています。

 

しかし、世間ではコロナウイルス騒動でマスクが爆発的に売れて、医療従事者がよくはめる高性能の「N95」マスクでさえ品薄状態です。しかしN95でも「細菌や花粉など直径0.3μm(マイクロメートル)以上の微粒子を95%以上捕集できる」レベルであり、0.1μm程度の大きさの新型コロナウイルスを補足できるかどうかは疑問が残るところです。N95のように密閉できない一般的なマスクなら尚更のことです。

 

ただ、自分の口や鼻を無意識に触ることを防ぐためや口元を加湿するという意味ではマスクは有効的だといえるので、しないよりはしたほうがいいでしょう。

 

しかしそれだけでは対策は不十分です。マスクよりも重要な予防法はありますので、それらをご紹介します。

 

対策法

 

対策法は以下の7つが挙げられます。

 

  • アルコール消毒
  • 熱消毒
  • こまめに水分補給
  • 部屋の加湿
  • 口呼吸ではなく鼻呼吸
  • イソジンでうがい
  • 発酵食品などで免疫力を高める

 

なぜ以上のものが有効的だと考えられるのか、理由も含めて説明していきます。

 

 

1:アルコール消毒

 

まず簡単な対策法は、アルコール消毒です。

 

新型コロナウイルスの特徴を調べてみると、DNAの外側にエンベロープという膜を持っているのですが、一般的にインフルエンザウイルスのようなエンベロープを持つウイルスはアルコール消毒に弱いことが分かっています。アルコールが外側の膜であるエンベロープを壊して、ウイルスにダメージを与えるのです。

 

青の破線がエンベロープ

出典:PRO SARAYA

 

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によれば、アルコール消毒は60%以上の高濃度アルコールが推奨されています。

 

外出して帰宅した際に服をアルコール消毒するといいでしょう。ただ、アルコール消毒もやりすぎると、自らの健康を守る常在菌も死滅させることになるので、手肌にやりすぎるのは注意が必要です。

 

2:熱消毒

 

他の消毒法として熱消毒が挙げられます。新型コロナウイルスはSARSと似ているということが分かっていますが、国立感染症研究所によると、SARSは熱に極めて弱く、 80℃という熱を10分間与え続けることで活性が失われます。なので、服の洗濯後にアイロンがけも有効でしょう。また、紫外線に弱いこともわかっているので洗濯物をしっかり日光に干すことも有効です。

 

新型コロナウイルスに関してはまだ不明な点も多いため、絶対に効果があると断言することはできませんが、コロナウイルスの仲間であるSARSと似ていることから効果がある可能性は高いといえるでしょう。

 

3:こまめに水分補給

 

これはインフルエンザウイルス対策でもよく言われることですが、こまめに水分補給をすることによって、感染部分についているウイルスを洗い流すことが有効です。ウイルスを胃に流してしまえば、強い酸である胃液は細菌やウイルスを殺す効果があるので感染することはありません。

 

どれくらいの頻度で飲めばいいのかというと、インフルエンザウイルスがのどや鼻の粘膜にある感染部分に到着してから細胞内に侵入するまでに最速で20分といわれているので、20分おきに少しずつ飲むのがベストでしょう。

 

ただ、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれるコーヒーは胃を刺激してしまうので、水やお茶が望ましいです。

 

あと、ご注意いただきたいのは、こまめに水分補給すれば絶対にかからないというわけではないということです。のどだけではなく、目や鼻の粘膜からも体に入って感染しますので、あくまで対策の一つという風に捉えてください。

 

4:部屋の加湿

 

イルスというものは基本的に乾燥した空気を好む一方で、高湿度が苦手です。例えば、気温が20℃で湿度30%の状態において、6時間経過すると約半分のウイルスが生きていますが、温度はそのままで湿度を倍の60%に上げると95%も死滅します。いかにウイルスが湿度に弱いかが分かりますね。

 

基本的にウイルスが冬に流行するのは空気が乾燥しているからです。インフルエンザも冬に流行りますし、SARSが流行したのも冬でした。

 

なので加湿器を使ったり、ストーブの上に水をたっぷり入れたヤカンを置いて沸騰させるなどして、部屋の湿度を高めることも有効策です。

 

5:口呼吸ではなく、鼻呼吸

 

ウイルスは湿度に弱いということで、鼻呼吸を心がけることも重要です。口呼吸だと口全体だけでなく喉も乾燥してしまいます。それだとウイルスが活発化しやすい状況を作ってしまいます。

 

一方、鼻呼吸は鼻腔内にある毛細血管が加湿の働きをすることが分かっています。その結果、ウイルスが体内に入ってこれないような湿気のバリアーを作ってくれます。

 

いわば、鼻呼吸は自然のマスクなのです。

 

 

6:イソジンでうがい

 

うがい薬のイソジンに含まれる「ポビドンヨード」という成分がコロナウイルスに有効ということが判明しています。新型コロナウイルスにも効果がある可能性が高いとみていいでしょう。

 

ちなみに、水だけのうがいはあまり意味がないといわれています。帰宅した際はイソジンでうがいをするのが望ましいでしょう。

 

あと、基本中の基本ですが、手洗いももちろん重要なので、石鹸などでしっかりと手洗いすることも忘れてはなりません。中国であれほど感染拡大をしているのは中国の人はトイレの後も手洗いをしない人が多いからだともいわれています。それを反面教師にしましょうというわけではないですが、いつも以上にしっかりと手洗いすることを心がけましょう。

 

7:発酵食品などで免疫力を高める

 

これも基本中の基本ですが、食事で免疫力を高めることも重要です。最近の予防医学では腸内環境を整えることが免疫力を高めることに繋がるということが常識になりつつありますが、腸内環境を整えるためには発酵食品を摂ることが良いとされています。

 

SARSの時は韓国人や日本人には感染者が現れませんでしたが、それは韓国人がキムチを、日本人が味噌や納豆などの発酵食品をよく食べるからだともいわれました。

 

SARSが大流行した2003年と今では中国人の移動量の違いもありますし、今回は韓国人も日本人も少ないとはいえ、発症している人がいますので、それらの発酵食品が万能だとは思いませんが、免疫力を高めることは確かです。

 

乳酸菌やビフィズス菌などは胃酸でほぼ死んでしまいますが、それらの死骸は腸に届くと腸内の善玉菌の良いエサになり、間接的に善玉菌を増やす効果があります。

 

悪玉菌に対して善玉菌が優勢になると腸内環境が良くなり、免疫力が高まります。

 

そのためにも発酵食品を摂ることが重要ですが、品質も大事です。例えば、味噌に関しては密封された袋に入っているものだったり、レトルトの味噌も発酵してないのであまり意味がないです。できれば空気穴の開いた長期熟成のもので、化学的な添加物やアルコールが添加されていない伝統的なお味噌が望ましいでしょう

 

また、免疫力の観点からいうと、免疫力を下げるようなアルコールや上白糖などは摂りすぎに注意したほうがいいでしょう。

 

以上が7つの予防法でした。

 

新型コロナウイルスに関しては謎がまだ多いために、以上の対策法は絶対に新型コロナウイルスに効くと断言はできませんが、少なくともインフルエンザなどの他のウイルス対策にはなります。風邪をひいて体の抵抗力が弱っている時に新型コロナウイルスが襲ってくる可能性もあります。特に生理機能の低下した高齢者がインフルエンザウイルスに感染すると、肺炎を発症しやすくなることが分かっています。

 

ということで、インフルエンザなどのウイルス対策することが新型コロナウイルス対策にもなるといっていいでしょう。

 

以上に挙げたもの以外でも、運動をすることやしっかり睡眠をとることも重要です。

 

このパンデミックがいつまで続くのかはまだ分かりませんが、SARSは2002年の11月頃から感染拡大し始めて、2003年の7月に収束しました。ウイルスは湿度に弱いということから夏までには収束するのではないかと思われます。

 

それまでにどれほど拡大するのかは分かりませんが、少なくともSARSの発症者数と死亡数を既に上回っています。

 

日本でも感染者はいますし、中国からの旅行者は昔と比べてかなり多くなっているので、細心の注意が必要です。出来得る対策をして、このパンデミックを凌ぎましょう!

 

 

 

 

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