移民受け入れ法案のデメリットとゴーン逮捕の裏で強行採決された訳

11月27日の夜、入管法改正案出入国管理法改正案)、またの名を移民受け入れ法案(出入国管理法改正案)が衆議院本会議で賛成多数で可決されました。

 

世間はカルロス・ゴーン氏(日産自動車の前会長)逮捕で話題が持ちきりになっていた頃で、移民受け入れ法案のことなどメディアではほとんど触れられていません。

 

しかし同案は今後の日本社会を大きく変えるほどの重大なものでした。

 

では今回の移民法によって具体的にどのように日本社会が変わるのかを見ていきましょう。

 

 

移民受け入れ法案(入管法改正案)の内容

 

衆院法で半ば強行的に採決された同案は、簡単にいうと外国人労働者の受け入れ拡大のために在留資格をつくるという内容です。同案を以ってして2019年4月から実質的な受け入れを目指しています。

 

日本における労働者の不足は深刻な問題で、特に地方では少子高齢化や人口の東京一極集中を背景に若い労働者がかなり少なくなっており、これから更に減少していくと予想されています。

 

この深刻な事態を解決すべく作られた法案なのですが、問題も様々あります。

 

まず、同案は労働時間や賃金などの処遇や社会保険などに関する具体的な内容がなく、野党からは批判されていました。

 

更に受け入れ見込み数や在留者管理をどのように行うかといったことも関係省庁に丸投げで、同案を通した国家ビジョンも掲げられていません。

 

ところが中身スカスカのまま慎重な討議が行われることなく、たった17時間の審議で同案は採決されてしまいました。

 

与党は当初から11月27日に採決を行うと決めていたようです。なぜなら12月10日の国会閉会に間に合わせたかったからです。

 

外国労働者受け入れ拡大によって起こる弊害は他国で多く見受けられる中、なぜ与党はなぜ慎重な討議を行うことなく同案採決するのに急いでいたのでしょうか?

 

安く使える労働者を大量に招く狙い

 

法案について安倍晋三首相は「深刻な人手不足に対応するため、一定の技能を有する外国人材を期限を付して受け入れるものだ」と説明しています。

 

その骨子案は、この新たな在留資格では、介護、農業、建設、外食など14の分野において、「相当程度の知識または経験」を有する外国人労働者に「特定技能1号」という資格を付与することで在留期間を最長5年与えるというものです。

 

さらに「熟練した技能」があると判断されると、「特定技能2号」へとバージョンアップし、在留期限無制限(永住権)や家族の帯同も認めています。

 

しかし「相当程度の知識または経験」というのも曖昧な表現ですし、永住権というものを釣りの餌にして、ただ低賃金で雇える単純労働者を増やしたいだけという本当の狙いが見え隠れしていると多くの識者は指摘しています。

 

外国人労働者の実態は「現代の奴隷」

 

実は既に近年外国人労働者は増加傾向にあります。厚生省が発表した数字によると、2017年の外国人労働者数は約127万人です。2012年は約65万人だったのでたった5年で倍に膨れ上がったことになります。

 

この流れを牽引するのは外国人技能実習生(約25万人)と、今や外食産業やコンビニなどのチェーン店で欠かせなくなった外国人留学生(約25万人)です。

 

実習生と聞けば日本に技術を学ぶために来ていると思われがちですが、実態は短期の出稼ぎ労働者であるといいます。留学生もまた勉強よりも出稼ぎを主たる目的とした者が多くを占めるようです。

 

「単純労働」を目的に外国人が入国することは法律で許されないために「技能生」や「実習生」と偽って、実質的には単純労働者として受け入れているのです。

 

飲食チェーンやコンビニなどはもはや外国人労働者なしには成り立たなくなってしまいました。外国人労働者頼みの現場は他にもたくさんあり、むしろ私たちの日常生活の中ではあまり目にしないような場所に数多く存在しています。それは弁当やパンなどの製造工場、宅配便の仕分け現場、新聞配達、農場などです。今や建築業界も人手不足から外国人労働者受け入れを始めています。

 

いずれも日本人が嫌がる肉体労働や早朝・夜勤労働などです。24時間オープンしている便利なコンビニ、激安の弁当、正確な時間に荷物が届く宅配便・新聞など、私たちの便利な生活は低賃金の外国人労働者に依存しているのです。

 

ちなみにその外国人労働者の内訳をみると、中国人の労働者は減少傾向で、東南アジア(ベトナムやミャンマーなど)からの労働者が増えているようです。

 

それらの外国人労働者依存型の企業の中には最低賃金以下の過酷労働、残業代不支払い、パスポートの取り上げといった人権侵害のような悪例も多く報告されています。欧米の人権団体などには、日本の外国人実習生を「現代の奴隷」と呼ぶところまであります。

 

アメリカ政府が2014年に出した「人身売買報告書」において、以下のような痛烈な批判が書かれています。

 

「日本政府は実務・政策のいずれを通じても、外国人技能実習生制度の<強制労働>を終わらせることはなかった」

 

母国にて斡旋業者に法外な手数料を支払って来日している外国人労働者は立場が弱く、最低賃金以下の違法な給料でも途中でやめれず強制労働のような状態にあるといいます。

 

その劣悪な状況から脱すべく失踪する外国人労働者は後を絶たず、年々増加傾向にあります。経産省のデータによると2017年だけでも7000人近く失踪していることが判明しています。

 

以下の本は、そういった外国人労働者の実態を暴いた内容です。

 

 

残酷ではありますが、私たちの便利な生活はこういった奴隷ビジネスに依存している側面もあるのです。

 

今回の移民受け入れ法案(出入国管理法改正案)はその流れを加速させることが予測されます。

 

外国人労働者受け入れ拡大のデメリット。海外の先例

 

このように安易に労働人口不足を外国人労働者で埋めようとすると様々な社会の軋轢を生みます。

 

他国の例をみると、例えばスウェーデンでは移民増加によって性暴力の頻発などによって治安が悪化し、反移民・難民を掲げる極右政党が台頭してきています。

 

スプートニックは具体的な例を次のように報じました。

 

「スウェーデンが、世界で最も安全な国の一つと考えられた時代は過去のものとなった。スウェーデンの日常的な状況は、非常に危険であり、スウェーデンの病院の人間でさえも、命を気遣わなければ危険である」

「(移民の)ギャング達は、銃で割り込んできたり、待合室でナイフを持ち出し喧嘩したり、入り口付近に投げ込まれた犠牲者を撃ったりするなど、すべてマルメ病院の救急部の厳しい現実となっている」

 

このようなことはスウェーデンだけでなくイギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどの欧米先進国でも起こっており、各国で極右政権が台頭し始めてきています。実際、イギリスがEU離脱を決めた大きな要因は移民問題でした。

 

ここでは「◯◯人が悪い」というような人権差別をしたいわけではなく、急な移民政策はその国民と移民の対立などの社会的軋轢を生むということを言いたいのです。

 

日本においても最悪レベルの労働環境に追い込まれている外国人労働者が貧困に喘いで「仕方なく」窃盗をする可能性も高まるでしょうし、そういった環境に追い込む日本人を恨む人も増えることでしょう。

 

逆に外国人の急増により極右的・人種差別的極端な思想を持つ日本人が増えることも避けられないでしょう。

 

そうなると日本人と外国人労働者の対立は深まります。

 

言語の問題もあって仲が深まるのは難しいかもしれません。

 

ゴーン氏逮捕=スピン報道説

 

このような重大な問題を孕んでいる移民拡大法案はメディアではゴーン氏の逮捕で持ちきりになっていたためにほとんど話題に上がりませんでした。このようにメディアにおいて他の何かで話題になっているタイミングに重要法案を強行的に採決するのは現政権の常套手段となっています。

 

いわゆる「スピン報道」というものですが

過去を遡れば、

ラグビーW杯、五郎丸→安保関連法案改正(2015年)

森友・加計問題→水道法改正案閣議決定、種子法廃止(2017年)

などがあります。

 

政府とメディアが結託して、重要問題を国民の目から逸らすという目的があります。また政府は検察とも結託しており、誰々をいつ逮捕するというのを話し合って決めているという話もあります。

 

元巨人軍の清原氏の逮捕劇もTPPの署名式のタイミングを見計らって行われたものだった可能性が指摘されているのです。

 

今回の移民法改正もまたその一つだと考えられます。ゴーン氏逮捕は前から話されていたことなのかもしれません。その可能性を指摘する記事はこちら

 

そして法改正によって外国人労働者を増やそうというのは経団連の意向があったのかもしれません。

 

いずれにせよ、2019年4月以降更に外国人労働者が増える見込みで、日本社会は今後大きく変わっていくのは間違いありません。

 

外国人労働者が急増することで、日本全体の低賃金化も懸念されます。今より低賃金で長時間働いてくれる外国人労働者が増えれば全体の平均人件費は下がることは間違いないです。一橋大学経済研究所の試算によると、単純労働に外国人が100万人増えた場合、国内の賃金は24%下落するという数字が出ています。

 

低賃金化だけでなく仕事枠が減り、定職に就けない人も増えるでしょう。更にAIの進化によって更にその流れは加速していきます。

 

それらに伴い、経済格差はどんどん広がることが予測されています。

 

様々な意味で争いの社会が激化するであろう今後の世界で、どう生き残るのか。私たちに与えられた課題はとても大きいです。

 

外国人労働者増加やAIの進化などの時代の波に呑まれないようなクリエイティブ性、人種差別に屈しない精神的なタフネスさ、様々な文化を受け入れる寛容さ、溢れる情報に踊らされないような知識と冷静な判断力などが必要になってくるでしょう。

 

ある意味、私たちも進化する時が来ているのかもしれません。

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