TPP11と農地法改正によって爆買いされる日本領土。対策法は?

農地法改正と2018年12月30日に発効が決まったTPP11によって日本の土地が外国資本に奪われつつあります。なぜそうなっているでしょうか?
 

 
 

農地法改正による日本の領土危機

 
 
2016年4月1日。日本の農地を外国に売りやすくする法律が、ひっそりと施行されました。その法律とは「農業協同組合法等の一部を改正する等の法律」、いわゆる「農地法改正」です。
 
 
その法律ができるまでの日本では農地の売買は直接そこで農業をする農業関係者に限定して許可されていました。
 
 
2009年の改正で一般企業も農地を借りられるようになりましたが、それがまた厳しい制約で、役員の4分の3が農業者で議決権の4分の3を農業者が持つ農業法人だけに限られ、所有する場合は役員の4分の1が毎年60日間農作業をしなければならなかったのです。
 
 
この制約があるために海外企業は日本の農業になかなか参入できていませんでした。
 
 
しかし「日本を世界一ビジネスしやすい国にする」という目標を掲げる安倍政権が農林水産業を成長産業へと押し上げるという目標を持った「日本再興戦略」を閣議決定し、農業に関係ない企業でも日本の農地を簡単に手に入れることができるよう、規制緩和したのです。
 
 
それにより役員は農業者でなくてもよくなり、議決権を持つ農業者の必要数が4分の3から半数に減らされ、役員の4分の1が年間60日間農作業にでなくても役員以外の社員を一人畑に出せば条件がクリアになりました。
 
 
これにより外国法人が日本の農地を買いやすくなりました。
 
 
ですが、農地とは単なる土地ではなく、日本領土の一部であり、水源でもあります。
 
 
日本の安全保障問題と環境問題に関わってくる問題なのです。
 
 
参議院農林水産委員にて「外国人が日本の農地を所有することの問題」を指摘された斎藤健農林水産大臣はきっぱりと「わが国では、基本的に外国法人の流入はありません」と反論しています。
 
 
本当にその言葉を信用して安心していいのでしょうか?
 
 
 

外国領土を爆買いする中国人

 
 
国内の河川の7割が深刻な汚染に悩まされている中国は水資源の確保が政府の緊急課題となっています。そのため中国政府が自国企業に海外の農地買収を奨励しています。その影響もあって中国人は今世界中で土地を買い漁っているのです。
 
 
例えば、フランスでは中国人による農地の買い占めが問題になっており、マクロン大統領はその流れを阻止すべく外資による農地の買い占めを規制する方針を発表しました。
 
 
オーストラリアは既に外国資本による農地取得の4分の1が中国企業によるものになっています。そのうちの多くの中国企業はオーストラリア産のワインを作り、中国人向けに販売しているようです。地元にお金が落ちない上に地元の農家がことごとく潰されていることが問題となっています。そこでオーストラリアもまた規制強化に走っています。
 
 
アメリカでは、土地所有権は政府が最後の判断ができることになっており、 アメリカ国の4割の州が州法によって規制が設けられています。政府の判断によって安全保障や水源地などに関する大事な土地に対して所有の規制をかけるという判断をすることができるのです。オバマ元大統領も中国人が買おうとしたところに対して、規制をかけたことがあります
 
 

世界の流れに逆行する日本

 
 
他にも規制強化している国が特に欧州で増えています。その世界的な流れに逆行しているのが日本です。
 
 
 
2016年の間で日本で買われた土地面積は202ヘクタール(なんとディズニーランドの約4倍の面積!)。前年と比較するとなんと3倍にもなっています。
 
 
そのほとんどが北海道の森林で、水源地が人気のようです。購入者の約8割は中国系で、中国人の爆買いは日本産の日用品や家電のみならず不動産にまで及んでいます。
 
 
産経新聞によると、北海道では中国資本に既におよそ東京ドーム1000個相当の土地が買い占められ、沖縄でも国が借り上げている米軍用地の10分の1が既に中国資本のものらしいです。
 
 
そのほとんどが投資目的で、水源地のみならず、太陽光発電、ゴルフ場、キャンプ場などが押さえられているといわれています。
 
 
この事態を危機として受け止め、ここ5、6年で外国人による土地購入に規制をかける自治体も出てきました。北海道、埼玉県で土地の売買の事前届け出制を義務付けるようになりましたが、違反者に対しては氏名公表や適正化への「助言」や「勧告」にとどまり、その規制効果に疑問が残ります。
 
 
また、法改正によって、農業者でなくても簡単に土地購入できるようになってからは農地が買われるケースが増えているようです。
 
 
なぜここまで日本の土地が買われるのでしょうか?
 
 
その理由は、日本の土地で法人をたてスタッフ2人を置けば「管理ビザ」、10年経てば永住権を取得できるからです。 
 
 

TPP11によって規制される外国人土地法

 
 
一応、日本には外国人の土地所有を禁止または制限できる法律「外国人土地法」(大正14年公布:法律42号)がありますが、この法律は内閣が「政令」を出さないと運用できないようになっています。そして不思議なことにその政令は現在まで一度も出されたことがないのです。
 
 
菅直人元首相は2010年10月15日の参院予算委員会にて、外国人土地法についての質問に対して「規制には政令が必要だが、現在は存在せず、事実上この法律も有名無実になっている」と答弁しました。一国の首相がこの法律は無いも同然と言っているのです。
 
 
更にTPPによってその政令に対する制限がかけられることになります。
 
 
TPPの「投資・サービスに関する留保」付属書の10番目には以下のことが書かれています。
 
 
 
「政令により日本国における外国人又は外国の法人による土地の取得又は賃貸借を禁止し、又は制限することができる。ただし、日本国の国民又は法人が、その外国において、同一又は類似の禁止又は制限を課されている場合に限る」
 
TPP加盟国の日本と外国の土地取引の制限は同条件で、日本人の土地所有が禁止または制限をされていないとその外国に対して制限をかけることができないということになります。つまり外国人土地法の政令を発効するにはTPPが障壁となります。
 
 
 
以上のように、農地法改正とTPP11発効によって日本の土地がどんどん外国資本によって買い漁られることになるのです。
 
 

外国資本の土地所有に規制をかけるには?

 
 
そもそも日本はWTO(世界貿易機関)のGATSの交渉のときに、日本政府は土地に関して留保をつけませんでした(外国人の土地所有制限をしなかった)。それを是正するためには各国と交渉し条件を変更していかなければなりません。そうでないと地方自治体の条例でも外国人だけに対して土地所有の制限をすることができません。
 
 
もしくは外国人に対して制限をかけるのではなく、水源地の所有に対して制限をかけることはできます。
 
 
これは外国人に限らず日本人に対しても同じで、例えば、北海道のニセコ町は、大量の地下水の採取や水源地周辺の開発を規制するために事前許可制を導入しています(「地下水保全条例」)。
 
 
具体的には、地下水を汲みあげる際に、標準家庭で使う井戸水取水管より太い断面積8センチを超える管を使う場合には事前許可が必要になるというものです。そして水源地周辺の開発は、事業者に対して町との事前協議を義務付けて、違反者には罰金50万円を科すという罰則規定も設けました。
 
 
このように水源地開発に対して規制をかけることで外国人の土地に対する投資に障壁を作ることができます。
 
 
ニセコ町のように条例によって何かしら制限をかけていくことが一番現実的な対策でしょう。そのためには自治体同士の情報交換も必要でしょうし、規制を設けていない自治体に対して我々市民が条例を設けるように嘆願していった方がいいのかもしれません。
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TPP11と農地法改正によって爆買いされる日本領土。対策法は?」への1件のフィードバック

  1. このブログに書いてある内容、今読んでいる「日本が売られる」(幻冬舎新書)に書いてある内容と全く同じでした。除染した土を公園に使うとか何考えてるんだか、、

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