連日カルロス・ゴーン被告のニュースで話題持ちきりですが、ゴーン氏再逮捕やゴーン夫人への仕打ちは海外から賛否両論があります。実際、イタリアのTV局の記者はゴーン氏の声明映像を視聴した上で「日本で逮捕後の尋問で弁護士の同席が許可されないのは、ヨーロッパでは信じられない」と話しています。
他の国ではどのような反応がされているのでしょうか?
フランスでは賞賛の声!?
フランスの新聞社、Les Echosのヤン・ルソー記者は「フランス国民は日本の司法制度はヨーロッパと大きく違い、非常に驚いている」という一方で「ゴーン容疑者への同情は一切なく、それはフランス政府も同様」だと話した。
ルノーといえばフランスのほぼ国営企業で仏政府はルノーの株の15%も所有しています。そしてゴーン被告はルノーのトップでしたが、国民はゴーン氏に対して冷ややかに見ているようです。
フランスのルノー工場のある勤務者はこう語ります。
「マクロンもゴーンも、カネと権力ばかり。別世界ですよ。あれだけお金をもらっておいてきちんと報告しないなんて、ひどい話だと思う」(COURRIER JAPAN 『仏ルノー工場で聞いてみた「ゴーンのこと、どう思う?」』より引用)
他のルノー工場勤務者も取材に対してこのように話しました。
「上のほうには超富豪がいて、たびたびカネに汚いことをやっている。ゴーンさんが例外なわけないでしょ?」(COURRIER JAPAN 『仏ルノー工場で聞いてみた「ゴーンのこと、どう思う?」』より引用)
このようにマクロン大統領やゴーン氏などのいわゆる大富豪に対する不信感は実はフランス国民に根付いています。それを象徴するのが2018年11月から始まった「イエローベスト運動」というフランス全土に広がった大規模デモ活動で、これはいわゆる「グローバリズムによる搾取者に対する反対運動」と言われています。
このイエローベスト運動の取材でもゴーン氏に対してのコメントがあり「ゴーン氏が逮捕されたことについては当然だと思っています。彼は既得権益の代表で、99%のフランス国民の現実から切り離された場所にいるのです。」(43秒〜)と、見放すような発言が見て取れます。
ゴーン氏逮捕に関するフランス国民のネットの反応も似たような反応が多いです。
「日本はさすがだ。これがフランスだったら逮捕まで行ったただろうか?」
「無理無理。フランスはお偉いさんがみんな仲間同士だから。お互いに守ろうとして逮捕まで行くはずがない。」
「ヨーロッパでも不正を働いてないはずがないよね……。日本の刑務所に20年くらい入ってもらおう!フランスにいたら何とかして助かろうとするはずだから……。」
「日本はよくやった!フランスだとアンタッチャブルな存在で逮捕出来なかっただろうし。」
(海外の反応「パンドラの憂鬱」から引用)
このように拍手喝采とも受け取れるような声が多い一方で、フランス国内で擁護する声もなくはないですが、それは少数派のようです。
フランス政府の反応はどうなのでしょうか。
日本を脱出してパリに滞在中のゴーン氏の妻キャロル氏が日本では公平な裁判を受けられない恐れがあるとして地元メディアを通じてマクロン大統領にゴーン容疑者の保護を呼びかけていたのですが、大統領府の関係者は4月9日、NNNの取材に対して
「ゴーン容疑者は他の人と同様に裁判を受ける立場にある」
「フランスでも司法当局による捜査が進んでいるが、三権分立の観点から、政府が発言をすることはない」
とゴーン氏を特別扱いしない考えを示しています。つまりキャロル夫人の要請を拒んだことになります。フランス政府が介入をすることで日本との関係がこじれるのを避けたいのでしょうか。なんにせよゴーン氏は事実上フランス国民だけでなく政府からも見放されたことになります。
マクロン大統領も
関連グループの安定性を注視している。従業員のためには安定は不可欠だ。政府はルノー社を支持していく。
とルノー支持の立場を表明していますが、ゴーン氏を守るということは一言も発言していません。
アメリカの批判的な反応
アメリカのニュースサイトDaily Beastの記者は、ゴーン被告が自動車産業を牽引する世界的に影響力の高いリーダーであるため、この事件はアメリカでも一定の注目度があると話しています。
そして今回のゴーン氏逮捕は
「彼が外国人だという事も大いに関係している」
「日本の外国人差別の一面を浮き彫りにした」
と話しています。
さらに外国企業の日本への投資にも悪影響を及ぼす可能性も示唆しました。なぜなら今回の一連の騒動は日本の司法制度の歪み(検察のやり方)を世界中に知らしめたようなもので、これから海外から日本へ来る経営者にとっては非常に懸念を抱かせるものだからです。このことはホリエモンも同じことを指摘しています。(→『カルロス・ゴーン逮捕を見たホリエモン×ひろゆき「そりゃ、日本の会社の経営をやろうとする外国人は減るよな」』)
他にも、アメリカのTV局Foxの経済ニュース番組ではスタジオでコメンテーターらがゴーン氏の一連の騒動に関して議論を繰り広げ、強く日本の司法制度を否定しました。
一人の記者は
「日本で仕事をする外国人ビジネスリーダーは今回の事件や検察の扱いに憤慨しているだろう…これは司法の問題だけでなく、文化の問題でもある。ゴーンや彼の妻は、『ガイジン』だから標的にされた」
と日本語で『ガイジン』と強調しながら語っています。
司会者は「この扱いは『野蛮』だ」と繰り返した上で
「関係者から首相官邸と検察で意見の摩擦が起こっていると聞いた」
「首相は、再逮捕は日本の体裁が傷付くので避けたかったが、検察はゴーン被告に罪を認めさせたかったから再逮捕に踏み切った」
と語っています。
アメリカのメディアはゴーン氏の横領などに関する疑惑云々よりも検察のやり方に対して批判をしている傾向にあります。
ゴーン事件は日産を舞台にした米仏代理戦争!?
一方で、ゴーン氏が標的にされたのは日産を舞台にしたアメリカとフランスの代理戦争によるものだという憶測があります(→参考:MONEY VOICE「ゴーン前会長逮捕は見せしめ、日産を舞台にした米仏代理戦争が日本経済を冷やす=斎藤満」)。
どういうことかを説明します。
フランスのマクロン大統領は世界的大財閥のロスチャイルド家のファンド出身なのですが、そのロスチャイルド家とそれに近いゴールドマンサックスはルノーとルノーの連結子会社の日産の統合を画策していました。マクロン大統領もロスチャイルドと同じ考えで、高失業率が続くフランス経済を立て直すために、日産自動車(と日産が筆頭株主の三菱自動車)の生産・雇用を欲していたようです。
つまりロスチャイルド側の一派はルノー会長を通じて日産を合併しようと画策していて、実際ルノー会長もある時を境に両社合併に前向きな発言をするようになりました。
しかし、そうされると困るのはトランプ大統領です。
トランプ大統領もまたアメリカの失業者を減らすべく日本に対して米国における雇用拡大を求めていました。その交渉の結果、安倍首相はトランプに米国内で3万7千人の雇用と2兆円超の投資を約束しています(2019年3月)。
米国における雇用拡大によって支持率を高めようとしていたトランプ大統領ですが、日産と三菱自動車をフランス配下に置かれると困ります。アメリカもその二社に睨みを利かせていたからです。
そこでその邪魔なフランス下ろしをするためにアメリカがルノーのトップだったゴーン氏を逮捕させるように日本の検察に働きかけたのではないかという憶測があるのです。
なぜアメリカの圧力に日本の検察が従うのかと疑問に思う人もいるでしょう。
実は検察はアメリカのCIAの配下にあると言われています。
【田中角栄と小沢一郎は】田中真紀子さんの証言【CIA配下の検察に嵌められた!】
まぁそもそもの話、東京地検特捜部はGHQによって設置された特殊機関なので当然と言えば当然の話ですが…。
フランスとアメリカの代理戦争はアメリカの勝利に終わり、それを象徴するように日本企業の雇用をアメリカに流すと安倍首相が固い「約束」をしています。
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