日本は世界でもトップクラスの少子高齢化社会です。
このままいけば日本はどんどん人口が減少し、衰えていくのではないか?と不安を抱く人も少なくないと思います。
しかし、私は悲観的な考え方を持っていません。
むしろ日本はますます豊かになっていくのではないかと思います。そこで鍵になってくるのが以前にも紹介した里山資本主義という考え方です。
(その記事はこちら:里山資本主義とは?持続可能な社会をつくる鍵)
では、少子高齢化社会のなかでいかに豊かになっていくのかを見ていきましょう。
少子化の原因とは
まず少子化と高齢化は別問題なので、少子化問題の対策から触れていきましょう。
まず少子化の原因は何なのでしょうか?
よく言われるのが女性の社会進出による晩婚化や未婚率の上昇ですね。
しかし、夫婦共々正社員が当たり前の地方の方では出生率が比較的に高いため一概に女性の社会進出が少子化を進めているとは言えません。
少子化傾向が強い地域は北海道(北海道民の半分が集まる札幌圏が顕著)、首都圏、京阪神圏です。
逆に出生率が高い地域は中国地方や南九州、沖縄です。
それらの地域は近代化から相対的に取り残されたような場所で、昔ながらの暮らし、自然と人の絆が比較的に多く残っているような場所です。
更に細かく見ていくと山間地や離島になるほど出生率は高いです。現代に蔓延るマネー主義的な世界からは程遠いような場所で、子宝を得ること、先祖代々から受け継がれる自然風景を残すことなどに多くの力を割いてきた場所でもあります。
世界的に見ても都市圏になればなるほど出生率が低くなる傾向にあります。資本主義が強い韓国や台湾、シンガポールは日本よりも出生率が低く、中国でも人口が集中する沿岸部は出生率1.0を切るほどと言われています。
世界的に見ても田舎の方が出生率は高い傾向にあるようですが、問題はそのような地域に住んでいる人たちは少数派で、多くの若者は大都市に集まり、田舎人口は減る一方だということです。
少子化対策
そもそもなぜ都会に人口が集まるのかを考えると、都会暮らしの憧れもあるでしょうし、企業が多い都会の方が就職チャンスが得られやすいという観念にもあるように思います。
その観念には就職してお金を稼がないと生きていけないという不安や恐れがあることでしょう。
では本当に都会の方が生きやすいのでしょうか?
確かに賃金だけを見れば都会の方が高いのは事実ですが、その分不動産などの生活費が高いです。
一方、田舎の方は賃金は比較的高くないかもしれませんが生活費は安く済みますし、何より自給自足しやすい環境でもあるので、仕事をしながら自分が食べる分の食物を育てることも可能です。
最近よく使われるようになった言葉で「半農半X(半分農業、もしくは自給自足をして、半分違う何かで生計を立てるライフスタイルのこと)」というのがありますが、まさにこのライフスタイルを築きやすいのが田舎の魅力でしょう。
そして最近はインターネットの普及により働き方の多様化も進んでおり、パソコンを使って遠隔で様々な仕事をするフリーランスの人も増えており、そういった人は働く場所に縛られません。田舎にいながらも色んな場所にいるクライアントと仕事をすることもできる時代です。
だから都会じゃないと稼いでいけないというのは一種の固定観念とも言えますし、多くを稼がずとも食や水などのライフラインや助け合い文化が強い田舎暮らしの方が場合によっては快適で生きやすいかもしれません。
何も都会が悪くて、田舎が良いということを言っているわけではありません。そうではなく、ここで言っていることは多くを稼がずとも田舎で豊かに暮らすことも可能だということです。
物質的豊かさで言っても現代では都会と田舎で差はほとんどありません。日本に限っていえば田舎でも通販でなんでも頼めますし、だいたいどこに行ってもスーパー、コンビニくらいはありますし、むしろ都会にこそないホームセンターもあります。
海外に行くにしても地方の小さな空港からいけるようになってきています。
インターネットの普及により場所による情報の差や物質的豊かさの違いがどんどんなくなってきているようです。捉え方次第では本当に良い時代だと思います。
そして逆に、里山が残るような田舎では都会ではなかなか味わえない自然と水と空気と家庭菜園と、都会とは比較にならないほど美味しい食材と広くてゆとりある住居を格安で享受できるのです。
そしてこれは持論なのですが、自然と人との確かな繋がりが感じられる場所でこそ、人生の豊かさをより感じ、自分の子どもにもそれを知ってほしいという思いから子どもを作るようになるのではないかと思います。
逆に自然や人との繋がりをあまり感じれない環境で、仕事に明け暮れ、ストレスに悩まされているときに子どもを作ろうという考えはなかなか生まれないのではないでしょうか?
一概にそうは言えないとは思いますが、都会暮らしには隣人との関わりはほとんどなく、どんな人かされも知らず、自然との繋がりを感じにくいというのは事実だと思います。
だからこそ私は選択肢の一つとして里山残る田舎暮らしを提唱していきたいと思います。
資本主義でもなく共産主義でもない、平和的な里山資本主義という古くも新しい生き方も併せて。
高齢化対策
高齢化の問題はなんなのかというと、社会保障費が嵩むことにあると思います。
しかし、最近は健康寿命(平均寿命とは別で、病気になるまでの平均年齢のこと)が伸びてきており、元気なおじいちゃん、おばあちゃんが増えてきています。
この平均寿命は里山資本主義の普及で更に上昇すると考えれます。男性の平均寿命が一番長いのは長野県ですが、ここは一人当たりの医療費も全国最低基準です。
この県では戦後早くから、家庭にまで出向いて食生活などの生活習慣の改善を指導し大きな生活習慣病を防ぐ「予防医療」が取り組まれてきました。
加えてこの県は山村が多く、土に触れながら良質な水を飲み澄んだ空気を吸って暮らし、農作業で運動をしている高齢者が多いのです。
だから長野県の高齢者のような人が増えれば、自ずと医療費も少なくなり、労働者が負担する社会保障費も減ると考えられます。
また、地域循環型社会を作っていく上で高齢者のような知識豊かな人の協力は欠かせませんし、引退後も活躍できるような環境があれば、高齢者が多くても社会は豊かになるはずです。
日本の総人口が1億を切ると言われている2050年頃には仕事観も変わってきて、仕事=楽しいことという認識がある人が増えていると思いますし、そういった人は高齢者になっても現役のまま楽しく生産活動をするでしょう。
極端なことを言えば、おじいちゃんYoutuberみたいな人も増えていくでしょう(笑)
社会の高齢化が進んでいくことを避けれないのであれば、高齢者が活躍できるような環境を整えていけば良いのです。
高齢者の方も引退後はやるべき仕事がなくなって生き甲斐を感じれないという人が多いと聞きます。生き甲斐を感じれるような場を作ればボケ防止にもなるでしょうし、家に引きこもらず元気に活動することで健康的なセカンドライフを送れるでしょう。
その環境の一つとして里山資本主義的な田舎が適しているのではないでしょうか。
このように少子化対策にもなり高齢化社会対策にもなる里山資本主義は新しい時代における重要なキーワードだと思います。